はじめに
このシリーズはグランピング事業に新規参入した企業の事例をご紹介します。第三回の今回はスーパーマーケッ トを展開する株式会社にしがきによる、グランピング事業参入事例についてお伝えして行きます。
株式会社にしがきとは
株式会社にしがきは、1950年創業の舞鶴・丹後・ 豊岡但馬エリアを中心に24店舗のスーパーマーケッ トを展開する地域密着型企業であり、地域で長年 培ったサプライチェーンを活かし、地域住民の食生 活を支えている。
現在では小売事業以外にも、会員制リゾート施設 やグランピング施設運営を含めたリゾート事業、介 護事業などと多角化しており、パート従業員も含め、 多くの地域雇用に貢献している企業である。
体験型リゾート拠点「シエナヒルズ」
現社長への事業承継を機に、2016年頃から同社が力を入れたのがグランピング事業である。
天橋立 というキラーコンテンツを有するこの地域は、会員 制リゾートホテルが建ち並んでいるエリアである。 この地で先代が着手していたリゾート事業に、会員制というリゾート施設の利用形態を考案・導入する ことでリゾートを活性化させ、”三世代が楽しめる” をコンセプトに、非会員でも利用可能な、ヴィラ 型・ドーム型など様々なテイストの施設をオープン。
現代人が求める非日常に、キャンプ、グランピング という入口を作り、さらに様々な趣向が味わえるこ とで、海外リピーターも取り込み着実に市場を拡大。
また、この新型コロナ禍の中でも、他の利用者と完 全分離して三密を避けられることから、緊急事態宣 言解除後、利用者が激増している。
地域が一体となった展開
丹後地域では、地元を盛り上げたい・魅力を伝え たいと熱い想いを持ったキープレイヤーが存在し、 既に各所で独自に、地域資源を活用した新たな体験 コンテンツ等を提供している。
そこで、それらの魅力あるコンテンツを掛け合わせる仕掛けとして同社 が設立したのが、体験型リゾート拠点「シエナヒル ズ」である。
旧き良き日本の原風景が広がる丹後。食・歴史・ 文化といった様々なコンテンツが体感出来るポイン トを、それぞれのキープレイヤーに用意しももらい、 同社だけでなく、地域が一帯となって発信すること で、国内のみならず海外からも多くの誘客を実現している。
新型コロナ禍によりマイクロツーリズムが提唱さ れる昨今。同社のグランピング施設内の施設・什 器・備品、食料品などは、極力地元産、地元事業者 から購入するなど、スーパーマーケットで培った地 域貢献は、新たな事業においても広がっている。
地域を支え、地域の想いを実践する場づくりとして、同社の考える「地域と企業が共生するビジネス スタイル」の発展と活躍が今後も期待される。