はじめに

経営者としてその事業に取り組む際に把握しておかなければならない大きな要素のひとつに法律があります。

法律を遵守したうえで事業を運営しないことには罰則が課せられるのは勿論、廃業に追い込まれてしまう可能性すらあります。

今回はグランピング経営と旅館業法、建築基準法の関係性についてご説明します。

旅館業法とは

旅館業法とは、旅館業の適正な運営を確保するために制定された法律を指します。

施設を設けて寝具を用意し、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行うことを「旅館業」といい、旅館業を経営する場合には都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区では、市長又は区長)の許可が必要になります。

グランピング施設は旅行業法の対象となるのか?

結論から申し上げますとグランピング施設は旅行業法の対象になります。

グランピングの施設のように、常設のテントやコテージ、トレーラーなどにお客さんが泊まれるサービスに提供は、この旅館業法の第2条で定められたホテル / 旅館・簡易宿所・下宿のうちの簡易宿所にあたり、旅館業法の対象となります。

ですので、営業許可を取らずに営業をしてしまうと、罰金などの罰則が課せられてしまうの
で注意が必要です。

もちろん、キャンプ場などでお客さん自身でテントを組み立てて宿泊する場合には、「宿泊施設を設けている」という定義から外れますので、旅館業法の対象にはなりません。

この件につきましては、経済産業省が「アウトドアレジャー体験事業と旅館業法の関係」について以下のように定義しています。

”アウトドアレジャー体験事業において、参加者にテント等を貸与 提供し、アウトドアレジャー体験の対価として料金を徴収することは、旅館業法の適用を受けない”

”「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」は旅館業法の適用を受ける”

ですので、宿泊をせずに日帰りでグランピング場でアウトドアを楽しむ場合においては旅行業法の対象外となります。

続いてはグランピング施設と建築基準法の関係についてご説明します。

建築基準法とは

建築基準法とは、国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めた、日本の法律のことを指します。

前身は市街地建築物法(大正8年法律第37号)です。

こちらも結論から申し上げますと基本的にグランピング施設は建築基準法の対象外みなされるケースが多いです。

ここからは、その理由と見解についてご説明します。

常設でないテントは建築物ではない

通常の建物やテント倉庫とは異なり、グランピング施設のテントについては、台風や豪雪などの場合、撤去されるケースがよくあります。

建築物の大前提は常設であるということですから、グランピング施設のテントは建築物には該当しないという見解が有力といわれています。

地面に固定されていないテントは建築物ではない

テントは基本的にはペグなどの簡易な器具で設置・固定されています。

通常の建物のように基礎でしっかり土地に定着性させることがありませんので、この点も建築物と見なさない理由となっています。

ドームテントですら、力のある成人男性が引っ張って動かせるレベルですので、建築物ではないという判断が有力のようです。

さいごに

グランピング経営と法律についての本記事いかがでしたでしょうか。

旅行業法の対象であることは間違いなく、建築基準法においては対象外と見なされる場合が多いということです。

法律の遵守は企業としての使命でもありますので、しっかりと理解したうえで事業化、事業参入をご検討頂ければ幸いです。