はじめに
このシリーズはグランピング事業に新規参入した企業の事例をご紹介します。
第二回の今回は千葉県香取市の農業組合法人である和郷園による、グランピング事業参入事例についてお伝えして行きます。
グランピング事業参入の経緯
同社は2013年、農業体験や温泉、レストラン、コテージ宿泊などが楽しめる敷地面積10ヘクタールの農園リゾート「THE FARM」を香取市にオープンしました。
「有名な観光施設が少ない香取市で、農業を活かして人を呼び込みたいと考えTHE FARMをオープンしました」とザファーム営業部長の毛利公紀氏。
年間15万人が訪れる人気施設になりましたが、農業は閑散期もあり、新しいコンテンツの創出に迫られていました。
そこで、若いスタッフのアイデアをもとに今年8月に始めたのがグランピング事業です。
農園リゾート「FARM」
森の中や川沿いに、セミダブルベッド2台を入れた大型テントを整備し、ウッドデッキやハンモックも付属。
1泊2食温泉付きで料金は1人1万3300円。
集客効果は予想以上に大きいといいます。
「これまでの客層は家族やカップルが中心でしたが、グランピングのオープンで女性グループや学生にも客層が広がりました。こうしたお客様が、将来、農園ウェディングを利用したり、農園の会員になって香取に帰ってきて頂くことを期待しています」(毛利氏)
一方で、「どこかでグランピングの波が終わり、飽きられるとも思っています」といい、新しい仕掛けを考えているようです。
「来年4月にはテントサイトに新しい宿泊施設をオープンするほか、野菜収穫、カヌーツアー、森を使ったブッシュクラフトなどのアウトドアアクティビティも充実させていきたいですね」(毛利氏)
地方創生としてのグランピング
和郷園のグランピング参入から見て取れるように、キャンプ場は地方創生・地域活性化の観点からも、重要な存在です。
キャンプ場は、地域の観光コンテンツやアクティビティを周回する際の起点になり、また、地域の魅力を発信するメディアにもなり得るからです。
例えば、キャンプの定番のバーベキューに使う野菜を、近くの農場から自分で収穫できるようにすれば、特産品のアピールに繋がるはずです。
地域に新しい客層を呼び込み、ファンをつくるために、キャンプ場の活用余地は大きいでしょう。
その際には、キャンプ場事業者単体ではなく、地域の他の観光事業者や一次産業事業者、行政などと連携した取り組みが必要になります。